兄の初盆
今年の4月に亡くなった実兄の初盆。
まだ4か月しか経っていないけれど、何故か遠いことのように思える。
仕事柄か職人気質で、情が深く、私や母には優しかったが、連れ合いには厳しかった。
でも最後まで良く連れ添ってくれた義姉。
病気が進行し、認知の症状が出始めた頃、昔付き合っていた女性のことをよく口にするようになって、義姉の手前ハラハラすることが度々あった。
その女性とは20代前半の頃付き合っていた。
家に来られたこともあり二人はいずれ結婚するものと私は思っていた。
でも何があったのか、結局二人は結婚には至らず、
兄は25歳で見合い結婚した。
その後50年近く、兄の心の中には、あの女性の姿があり続けたらしい。
義姉に対する精神的な裏切りだが、
「あんなに思っているのなら会わせてやりたいと考えているの」と義姉が言った時には驚いた。
結局会うことはなかったが、義姉にとっては、死にゆく兄に対する精一杯の愛情表現だったのだろう。
少しずつ理性が崩れ、義姉に感謝の言葉の一つもなく旅立った兄。
・・兄さん、あんなに尽くしてくれる奥さんはなかなかいないよ。優しくしてやれなかった分、空の上からしっかり見守ってやってね・・
と
初盆に帰ってくる兄の霊に伝えようと思っている。